大判例

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京都地方裁判所 昭和53年(タ)105号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

<証拠>によると次のとおり認められる。

(1) 訴外芦田わさ(明治四二年三月七日生)は亡河合フクの兄の子であるが母が早世したので叔母であるフクの許で育てられ一一才から祗園の舞妓となり成人後は自前の芸者となつて自ら世帯をもつていたが昭和二年八月二四日東山区東富永町で被告を分娩した。父は松浦房造であつた。

(2) 亡奥村瓊三(明治三〇年一月三〇日生)と河合フク(明治一八年八月一七日生)は当時既に夫婦であつたが正式の届出をしていなかつたため亡瓊三が被告を自分の子として届をなした直後の昭和二年九月六日フクとの婚姻届を出したので被告は二人の間の嫡出子となつた。<中略>

以上のごとく認められ、この認定に反する証拠はない。

右認定事実によると被告は亡瓊三とフクの間の長男として届出られているが、実際は松浦房造と芦田わさとの間の子であるから亡瓊三と被告間に親子関係が存在しないことの確認を求める原告らの本訴請求は理由がある。

被告は亡瓊三と被告との間に血縁の親子関係はないが亡瓊三が被告を嫡出子として届出をなし被告が同人に育てられたことは少くとも亡瓊三が被告を養子とする意思があつたもので養親子関係を認むべきであるという。確かに被告から見ると今日まで親子として戸籍に記載されていたものが一挙に変更されることは不本意であろうし同情すべき点もあるが、戸籍はあくまで真実を公証すべきものであり、虚偽の身分関係の届出を他の身分関係の届出に転換して有効と認めることは戸籍の信用性を害し、身分関係の混乱を招きこうした風潮を助長する虞があるが採用できない。被告への所遇は当事者の良識によつて解決すべき問題である。

(菊地博)

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